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elielin の日常

あっという間にもう三月か

  2007/2/287月 7th, 20222 件のコメント

感覚的には新年が過ぎたばかりというのに。台湾は今年の旧暦新年でなんと九連休、しかも休み明けで二日間だけ働いて、今日はまた休む。二月はほとんど休んでいる台湾人、もうなんというか、祝祭日で国を滅ぼすつもりかって感じ。
今年に入ってから、あまりよくないことが続いた。いや、本当はいいこともたくさんあったが、悪事は記憶に強く残るのは女の不幸な性。希望として「今年の悪運は二月でピークに達したよね」と後日笑って語れるようになりたいが、果たしてそんなうまくいくのか。
三月以後の話。気づくといろいろスピーチやトークのイベントに出席することになった。年明けてからずっと楽しみにしているのもあれば、本当のところ何を話せばいいのかよくわからないものもある。
話すの話になると、昔からうすうす感じていたが、漫画に限らず、台湾の読者はもしかして本当は「作品」そのものを楽しめることができなく、憧れ…もしくは尊敬、気に入った「作者」や「推薦者」など「作品の外側にある何か」と直に会い、コミュニケーションを取りたい、いわばその何かと「連帯感」を持つ*1ために、作品を読んでるに過ぎない。
簡単で言ってしまえば、台湾ではある年齢に達してしまうと、「金を出して作品を読む」という行為に至る要因はもしかして「フィクション好き」より本当は「作者萌え」じゃないかと、昔から疑っていて、ここ半年間は何人かを巻き込み、自分の身も持って少し実験もしてみた。確信まではないが、その傾向がある、とでも言おうか。
作品を読んで作者のことが知りたい、のではなく、作者のことが知っていたから作品を読む…作家よりアイドルがほしい傾向。結局、イベントとかで積極的に顔を出してしゃべるのがうまい人や、サイトで常連を確実に増やして経営できるなど自己プロデュースの長ける人しか、作品が読まれ続けられる。結果的にブログ本しか出せなくなる。
別に「作者萌え」を反対しているのではないが、いつまでも作者の個人的な魅力に集中するのではなく、作品もちゃんと読めるようになってほしいな。さもないと広所恐怖症で人見知りでネット嫌いでブログの操作もよくわからない内気な作者の作品はどんなによくても、永遠に読まれないじゃないか。
あっ、でも外国の作家についてはまったく別。それは言っておこう。
幸いなことは、自分は喋りに自信を持ってる方で、日本に生まれたら落語家になりたいぐらい喋りが好きなので、読めないなら読めるようになるまで喋ってやるという覚悟も持っているから別に問題はないけど。しかし作者でもない編集者なのに、常に公の場に出てぺらぺら喋らないと本が売れないところが読まれもしない国にいる自分が嘆かわしい。出版って、なぜこうも宗教と似てるよね。
なんだか変な話をしてしまった。何かしら感傷な気分を晴らしたいからかもしれない。今度ちゃんと台湾のサブカル話に戻りたいな。

*1:何かを読むか見るかについて、「連帯感=つながり」はかなり重要なポイントだと思うが、しかしこんな形だけではないとも思う。今のところ自分の中ではうまくまとめられないが。

elielin

数年前は東京でアニメ制作進行をやってた台北在住の台湾人編集者です。おたくでもギークでもないと思うけど、そう思っているのがお前自身だけだと周りから言われています。時々中野区に出没。

2 件のコメント

  • イノスケ より:

    お久し振りです。
    確かに感傷的かもしれませんが、そんなに変な話でもないだろうと思います。自己喪失の時代って言うんでしょうか。日本の読者にしても、自分の好みに自信が持てない、ってなんだいそりゃ? と思いつつも、わたしはなにが好きなんだろう、っていう事は結構あると思うんですよ。だから、こう、なんとなく群れちゃう、と。
    そんなにマメではありませんが、チェックしていますので、宜しく宜しく。
    ではでは。

  • elielin より:

    あ。おひさしぶりです。なんとなく群れちゃう…か。その「なんとなく」を掴めたいけど掴めるものなのかな…まあ目の前のことから一つ一つ解決していくしかないとも思います。がんばります。またいらしてください。

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