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昨日、母と一緒に「梵谷:尋光之路特展」というゴッホ展を見に行ったが、一番印象に残ったのは展示物ではなく、売店にあったデジタルアートフレーム「擬真藝屏(FindARTs)」であった。滑らかで平らなモニターにもかかわらず、キャンバスの質感やリアルな筆触などを表現できている。絵が切り替わる瞬間に初めて複製原画ではないことに気付き、思わず声を上げそうになった。

写真ではその素晴らしさがわかりにくく、本当に残念。調べてみると、これは友達光電の製品で、一般にも販売されているらしい…残念ながら、自分は絵を飾る習慣がないので買わないが、もしあれば絶対欲しくなるんだろうね。

売り場には、ゴッホの絵を使って作られたさまざまな関連グッズが並ぶ。定番の絵葉書やパズル、ノートやクリアファイルのほか、エコバッグからマグカップ、さらにはネックレス、リング、イヤリング(地獄)といったアクセサリー類や、名画をテーマにした高価な万年筆セットまで揃っている。万年筆はとても美しく魅力的だが、実に高価で手が届かない…そもそも万年筆を使わないが(汗)

展示会場限定販売商品の中、の展示作品を収録したボックス入りのポストカードセット(690 元)はまだ想像の範囲内だが(図録の代わりとしても良い)、『レストランの内部』と『夜のカフェテラス』という2つの名作から、それぞれの色調を抽出して作られた「限定コラボ3色ネイルセット」に少し驚いた。

セットの箱の中には、羽が挿してあるインク瓶の形をした美しい小瓶が3つ入っていて、てっきりインクかと思ったが、まさかネイルだとは…かなり斬新である。ただこの2種類のネイルセットの価格は各 1500 元のはずだが、テーブルに置かれた告知には「今すぐ et seq. フェザーペンネイルセットを購入すれば1箱はたったの 590 元」というのが書かれ、どうやら売れ行きがそんなに良くないようだ。

ゴッホ展自体についてだが…2大ゴッホ美術館の一つ、クレラー・ミュラー美術館から 25 点の原画を借りて展示されていたものの、有名な作品は入ってなかった。が。それでもキュレーターはこれらの作品を巧みに組み合わせ、素晴らしい物語に仕立てている。地図を使ってゴッホの生涯を眺める展示はとても分かりやすいし、(聞いてなかったが)林志玲を起用した音声ガイドも好評だ。ゴッホが好きな人なら十分に楽しめる内容ではないと思う。

展示の中で最も有名な作品といえば「自画像」だけど、耳に包帯を巻いたり、麦わら帽子をかぶったりするおなじみのものではない。まあ、ちょっと珍しいバージョンが見れてよかったかも。

と…どう言えばいいのか、自分はゴッホの後期の作品にしか興味がないので、展示されている初期の作品を見て正直退屈。ゴッホの若い頃の作品がなぜ売れなかった理由を再確認しに来たような気分なのだ。色使いが陰鬱で構図に特徴がないのは、見ているだけで気分が重くなり、私が当時のフランスで画商をしていたら、それこそは買いたいと思わないだろう。

しかし、今ではゴッホのどんな絵でも、たとえ完成度の低い習作であっても、ものすごい高値がつくのに違いないね。見る目ないね(苦笑)

そういえば富邦美術館は初めてで、とても美しい場所だと思う。母は広場にある真っ白なインスタレーションを見て、その白さを維持するために、美術館側はどうやって掃除するのだろうかと心配していた。松高路を挟んで伝説の豪邸「陶朱隱園」が見えて、美術館の広場から見ると、まるで超巨大なインスタレーションのようにも見えて、なかなか趣があるね。

elielin

数年前は東京でアニメ制作進行をやってた台北在住の台湾人編集者です。おたくでもギークでもないと思うけど、そう思っているのがお前自身だけだと周りから言われています。時々中野区に出没。

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