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乱筆乱文など

社会派緊急特集②

  2004/12/307月 7th, 2022コメントなし

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うむ。「分級辦法」について連続四日間ぐらいで取り上げようと思ったが、読者と関係者に出す年賀状を書くのに時間がだいぶ取られてしまった。とにかく続きを。
前回は「分級辦法」について少し説明してみたので。今度は11月上旬から12月中旬あたりまでの騒動について話そう。
私が思うに、騒動発生のタイミングも含めて整理すると、ことの発端はやはりこの「出版品分級管理說明會:一個分級、各自表述、沒有標準、家長最大*1という文章だと考えられる。
11月上旬から、少しずつこの類の、「等級分け制は実施するよ、どうしよう」な文章が出てきたが*2、誰かさんから「こういう話を聞いたよ」なり、知り合いの貸本屋さんから「もしかして」などの噂話程度で、性別解放運動サイト*3と、ロマンス小説専門掲示板サイト*4ぐらいしか盛り上げていなかった*5。しかし、11月中旬から(正確で言うと、11月19日あたりかな)台湾の各BBS、掲示板サイトに張られたこの文章は違った。内容というと、単純に作者は政府(新聞局)主催の説明会に参加し、説明について納得いかない部分や、質問しても要領のない答えばかり返してくるという嫌な思いを生々しく述べるもの。少々長いが、感情移入しやすい第一人称を使い、ところどころ辛口なツッコミを入れ、簡単で身近な言葉で綴るこの文章は、文末の「歡迎多多轉載,不須授權(どうぞご自由に再配布してください。連絡は不要。)」が効いて、瞬く間にいろんな掲示板やBBSサイトで見かけるようになった。
作者は文章の中、自分のことを「出版関係者」と記してあるが、発表されたいくつかの板は全部匿名板*6だから、作者不明なわけで、たとえ本当のことが書かれていたとしても、資料としての参考価値が極めて低いものであるはずだ。しかし実際そうではなく、引用に再配布に繰り返され、「分級辦法はメチャクチャなのに、思慮の浅い政府が強引に実施しようとする」というイメージを固めさせるための絶好の素材として使いに使われていた。これはとても恐ろしいことだが、誰も止められなかった*7
11月下旬、この文章は(どうも意図的に?)アニメ、漫画、ゲーム関係サイトへ一気に張り出され始めた。そして波紋が広がる。性別運動やロマンス小説関係者と比べて、年齢的にも人生の経験値も低いガキが多いので、断片的な文字や情報だけを取って騒ぎ出す人や、脳内でできた状況*8をあたかも本当のように喚く人が続出。すでに廃止された出版法(検閲制度)と勘違いした人も出てきた。ただどちらかと言うと、この段階ではまだ推測、憶測感覚のモノや、しばらく待って状況を見ようとするモノが多い。
そして時は早くも12月になり、さまざまな思惑の中で「分級辦法」はついに実施するようになった。
(続く)

*1:BIG-5コード。自分で書いたわけでもない中国語の長文をコピペするのもあまり意味が無いので、リンクすることにした。何ヶ月後失効するかもしれないのでご勘弁を。

*2:自分の記憶の中で、一番最初で見かけたのは2004年8月だったけど。「知ってる?うわさによると…」という出だしから始まった文章なので、煽りっぽいから結局誰にも相手されなかったが。

*3:フェミニズム専門サイト。普通はもれなく同性愛者権利関係の運動が付いてくるが。

*4:台湾のロマンス小説とボーイズラブ小説は、初版1000〜2000部のが普通という。そして、その部数の八割以上は貸本屋(全国でおよそ5000軒以上)に分け与える仕組み。Nヶ月間経て全然借り出されていないものは、なんと出版社に返品可能。出版業界の中に最も貸本屋と密接するジャンルで、表紙イラストのパクリ合戦を傍から見ただけでも、「モラルよりもポリシーよりもゼニをください」な匂いが漂う、苦労しているだろうと思うけど、やり方はいただけない世界。

*5:これ関係のものについて、定期的にチェックしていたのはKKCITYにあるBBSサイト、花魁異色館FFNC夢幻小說俱樂部二つだが、ちょうど両方とも11月上旬あたりに盛り上げていた。特に花魁異色館の方、いくつかのスレッドは勝手に実施後のイメージを膨らみし過ぎで、やや異様な感じも感じたが(汗)

*6:台湾のBBSや掲示板サイトはほとんどID制だが、匿名可能な板(「匿名板」や「抱怨(文句)板」や「測試(テスト)板」など)をいくつか設けるのも一般的である。

*7:あまり関係ないけど、なんとなく野沢尚の小説「砦なき者 (講談社文庫)」を思い出す。悪意はネットに経由しどこまでも広がっていき、増幅していく…「ネット」という媒体って恐ろしいね。

*8:例を挙げると「ドラえもんもR-18だよ!のび太はいつもしずかの裸を覗いてたから」、「名探偵コナンは発禁される」、「冬水社の出版品は輸入禁止になる」など。

elielin

数年前は東京でアニメ制作進行をやってた台北在住の台湾人編集者です。おたくでもギークでもないと思うけど、そう思っているのがお前自身だけだと周りから言われています。時々中野区に出没。

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