さて、12月19日で言及した「出版品及錄影節目帶分級辦法」についてまず少し。
まずこの「出版品及錄影節目帶分級辦法」の位置づけから。これは「(超直訳)出版物とビデオソフトの等級付け基準」という、「兒童及青少年福利法」を基づいて作られた「基準」である。
2003年5月制定、実施した「兒童及青少年福利法」の第四章「保護措施(保護方法)」の中には、このような記述がある。
出版品、電腦軟體、電腦網路應予分級;其他有害兒童及少年身心健康之物品經目的事業主管機關認定應予分級者,亦同。
前項物品列為限制級者,禁止對兒童及少年為租售、散布、播送或公然陳列。
第一項物品之分級辦法,由目的事業主管機關定之。簡単に訳してみた。
出版物、パソコンソフト、インターネット*1は等級分けするべき。その他児童及び少年の身体、精神の健全に対し有害なモノについて、業界を管轄する機関が等級分けするべきと認定した場合も同じく。
前項で挙げた着作物で限制級(R-18)と指定されたモノは、児童及び少年に販売、貸与、放映すること、またその前に陳列することを禁ず。
なお、前項に挙げられた着作物の等級分け基準は、業界を管轄する機関によって制定する。
で、定められたのはこの「出版品及錄影節目帶分級辦法」で、出版物とビデオソフトを「R-18指定」と「一般」に分けるわけだ。日本各地の「青少年健全育成条例」からいう「有害な図書類の指定の基準」に似ているが、「有害」というより「R-18」、基本はやはり映画のレイティングシステムの延長線上、或いはそのような感覚で制定されたモノだと考えられる。
実際もかなりユルイ基準だと思う。引用したら文章がだらだら長くなるのが嫌なので、中国語のできる方はこちらを参照してください。
出版物関係の内容を要約してみると、
- 等級付けの責任は制作、発行者にある。
- 等級をどう付ければいいのかと分からない場合、業者は専門団体に意見を聞くべき(料金取るけどね)。
- 児童及び少年の身体、精神の健全に対し有害だと思われる内容の含むモノは、「限制級(R-18)」に指定し、児童及び少年に読ませないようにする。
- 有害な内容について。
- 限制級(R-18)と指定された出版物は、表紙に「十八才以下閲覧禁止」を明確に*5表記しなければならない。表1及び表4は(4)の表現を含む内容を入れてはいけない。
- (4)の表現を含まないであれば、「普遍級(一般)」とし、自由に販売、貸与できる。
- 新聞紙は以上の規定には適用しない。
で、以上だ。(4)の「有害な内容について」は、その等級分けの基準であるため、(下の注釈と合わせて読めば)ほぼ全文訳した。
そう、皆さんもお気づきのように、全文も訳したのに、結構短くて大まかなことでしか書いていないだね。性的な表現を赤裸々に規制する大阪府の健全育成条例(PDFファイル)*6と比較してみれば、細かいことは何も書いてないと同じだね。
個人的には気にくわないけど、これでよかったと思うが、大まかで。セックスシーンは何ページ以下とか、どういう表現がいかんでどういうポーズは取っちゃあかんとかより、作る側の表現の幅があるし、何かあった時も、融通が利く*7。
でも、そう受け取れない人達がいた。
(続く)
いろんな新聞社のホームページを読みましたが、結局今日のデモは報道されなかったようです。12月上旬に、少なくとも中国時報は数の多い記事を書きましたが(時報出版社もプレッシャーを感じたのでは?)、今日はまったく無理しているようです。これからどうなるでしょうね。
私も探してみましたよ(笑)人は少なさ過ぎで話(ネタ)にならないではないでしょうか。それと、これからですか…何もならないじゃないですか(苦笑)「等級分け」という発想自体をよく思っていませんが(「インターネットの等級分け」に至ってはもうばかげてため息が出る)、出版、流通、貸本業界の対応や反対派の主張もヘドが出るほど嫌いです。創作自由などとぬかしていますが、「本屋へ行ったら60%以上は翻訳本じゃねーか!」と突っ込みたいぐらいです。モノもちゃんと作れてないのに創作の自由を語るのがどうかしてると思いますよ、もう。
本(漫画系ではない)の翻訳をアルバイトとしている私も創作の自由とかを言えませんね(苦笑)。 私にとって、この法律そのものより、誠品などの大手チェーン店がR-18漫画を扱わないことには非常に残念でした。別に等級分けは反対ではないですが、差別するのは賛成できません。 新聞局は自信満々に来年こそネットコンテンツの等級分けも是非実行してみたいと言いましたが……。
>この法律そのものより、誠品などの大手チェーン店がR-18漫画を扱わないことには非常に残念でした。
ここがポイントです。自分は何を売っているのか、何を作っているのかでさえ分からない業者の方こそ、問題です。これについては後ほど説明しますが…ちなみに、私は「(単一の標準による)等級分け」を反対するものですけどね。
雑駁な意見で申し訳ないですが、日本人の私から言わせれば、台湾のこの分野に関する規制はすでに充分すぎるほど厳しいと思いますけど(少なくとも日本に比べて)。これ以上厳しくしてどうするんだ、という感じですね。
ところで《野葡萄》、はやく言ってくださいよ〜(^^)。さっそく本屋に走らねば。
興味深く拝見させていただいております。
日本は年齢規制があるにはあるのですが、かなりぐだぐだな感じです。
日本においては子供向けとされているものの中身があまり吟味されていないので、それも如何なものかと思って入るのですが、それがお役所主導になるのは嫌だなぁと思っています。
台湾における等級分けがどのようになっているのか、どのように運用されていくのか、とても気になります。
> QianChongさま
う〜ん、私の理解では、この分野での規制自体はわりと曖昧なものが多く、執行者(取締り者)の思い一つで厳しく感じたり、なぜこういうのが規制しないんだと、感覚がかなり違ってくると思います。建築や交通の方はちょうど逆みたいですが。結局「互いに共通な認識が得られていない」のが、一番大きな問題かもしれません。物事に対するある程度の共通な認識がないまま、共通なルールに従って進めていこうとしていますので、不具合は必ず出てきます。その「不具合」を解明し、解決していけば、進歩が得られるはずだ…と信じたいですけど。普通はそう上手くはいかないんですが。
小説のこと…>―<;;未熟なものですよ。もしご感想いただければうれしいですが、あまり期待しないでください、お願い致します。
>ぽちさま
私も「お役所主導」に対して、かなり反感を持っています。でも一連の発展を見てくると、逆にお役所の方が可哀想だと同情したくなりました(苦笑)もしかしてお役所の方もだた、自律できない業者と、自立できない親に挟まれていたかもしれません…もう少し整理してから述べてみます。お楽しみに〜(って書いていいのかな…ドキドキ)