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今年もまた、梁紹先の『天國之門』年に一度のプロモーション日がやってきた。魔法少女ChatGPT に記事のアイデアを聞いたところ、「信念のために自らを燃やす物語が好きなら、『天國之門』は必読です」なんてフレーズが出てきた…うーん…担当編集として言うが、作中に「信念のために自らを燃やす」みたいな人はいなかったはず。燃やされたのならいたけどね…(地獄)

まあ今年は『天國之門』の連載開始からちょうど 20 周年ということで、少し感想を書いてみようと思う。

きっかけは、梁紹先が編集部に持ち込んできた短編だった。短編の内容は、天安門事件に巻き込まれた、ある外国人ジャーナリスト(カメラマン)の話。描いたのが 19 才の頃で、新人賞にも投稿したことがあったと、言ったような…ううっ。思い出せない。このへんは梁さんご本人に補足してもらおう。

その短編を読んで、非常に心に残った。けれど、天安門事件については短編の中できれいに完結していて、それ以上に広げる余地があるようには思えなかった。全 30 ページ程度の作品を、約 200 ページの単行本に拡張するのは無理がある気がした。そこで自分はちょっと考えて、梁さんにこう聞いた。

「天安門事件をもう3回、繰り返せる?」

それができるなら、連載できる。

梁さんが一瞬戸惑ったかどうかは覚えていない。けれど、私の記憶では、わりとすぐに「やってみよう」と答えてくれて、さらに「もとの短編も描き直したい」とも言ってくれた。何回かやり取りの末に、1話あたり 25 ページ前後、前後編構成で4本の物語を描くことに決めた。こうして連載が終わった時には、ちょうど 200 ページ以上の内容になり、単行本化できるという計算だった。

まもなくプロットを受け取り、最初の短編では記者の視点、続く3話では市民の視点、指導部の視点、そして国際社会の視点という構成になると知って、私は非常に興奮した。というのも、たとえマンガ大国の日本であっても、これほど真剣に天安門事件をマンガで描こうとした人はいなかったし、それも多視点での試みなのだ。

よく覚えてはいないが、企画はたぶん 2004 年秋ごろに始まり、2005 年1月号から連載スタート。1年余りかけて、全 225 ページを描き切り、2006 年に単行本として刊行された…ふむ。単行本については、来年「連載終了から 20 周年」のタイミングであらためて書こうかな。

天國之門』には、梁紹先が丁寧に再構成した4つの物語が描かれている。けれど現実の「六四」には、何千何万もの中国人の物語があり、もっと言えば中国人限っての物語だけでもなく、もっと複雑に絡み合ったものでもある。私たちは記録を通じて、「六四」の物語を掘り起こして考察し、「中国」とどう向き合うかを模索していくはずだが、時が経つにつれ、「六四」は単に「中国って言論の自由がないよね」と皮肉するための道具になってしまったようにも見える。それが少し、寂しい気がする。

最後に作中から1枚…まあ、マンガを読んだことのある人なら分かるよね。とにかく、「民主」「民主」を声高に叫ぶやつほど、いちばん信用できないぜ!(微ネタバレ)

梁紹先さんからの補足!はやっ!なるほどっ!

elielin

数年前は東京でアニメ制作進行をやってた台北在住の台湾人編集者です。おたくでもギークでもないと思うけど、そう思っているのがお前自身だけだと周りから言われています。時々中野区に出没。

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