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ちょっと周星馳の話を

  2002/6/306月 9th, 2022コメントなし

少林サッカー インターナショナル・バージョン 豪華版 [DVD]
つい二三日前ですが、何気にメルマガの映画ランキングを読み飛ばしていたら、「少林サッカー」がまだ2位に居座っていることを気付き、少し驚きました。
やっとここまで来ましたね、周星馳チャウ・シンチー)。本当に嬉しいことです。実は彼の古株のファンです、私。約高校二年生あたりからとすると、もうすぐ十年ぐらいになりますね。
日本に来て、周星馳が日本での知名度の低さにかなりショック受けました(馳星周の本は人気だけどね)。逆に李連杰ジェット・リー)や鄭伊健(イーキン・チェン)が意外に知られているのも結構驚きましたが…やはり黄飛鴻や古惑仔(欲望の街)シリーズは強いですね。まあ、考えてみればそれもわからなくもないことですが。
ゴッド・ギャンブラー2 (日本語吹替版) [DVD]
90年前半から香港で「ドル箱」と呼ばれるほどの周星馳ですが、最初は「賭神(邦題・ゴッドギャンブラー)」のパロディ映画「賭聖」で名を立たせました。その「賭聖」なんと本家の「賭神」の興行収入を抜いたという信じがたい記録さえも残しましたが、香港台湾以外の地域は「メチャクチャで版権無視のゴッドギャンブラーパロディ」という印象しか残らず(確かに、「賭侠」に至ってはもうある意味別ジャンルの映画になってる)、「賭×」系列作の系譜も複雑し過ぎで日本での邦題も結構いいかげんになっていました。それは記憶の中に残らないな〜と言うより、あの時の香港「賭×」映画乱作ブームが知らない、本家の「賭神」が大好きな人にとっては、もしかして悪印象しか残ってないかも知れません。
ロイヤル・トランプ [DVD]
その後の彼が最も注目されていたのは、やはり「古装片」という、つまり時代劇みたいなジャンルでの表現でした。普通は颯爽のカンフーやワイヤーアクションを見せ、客に爽快感を与えるジャンルでしたが、周星馳はいつもカンフーのできない主人公を演じていました。力もカンフーもない主人公で、切れた頭脳と鮮やかな弁才で官僚を懲らしめ、時に怪物をも倒すというお話が多く、カンフーは見せないけど、その全身を使って客を笑わせる独特な演技と作風は人々を魅了していました。しかし、これらの映画は時代劇のため、セリフは中国語の独自な言い回しが多く、さらにネタもローカルネタが多いことで、中国語または中華圏の事情がよく知らない人にとっては、たぶんほとんどは一体どこがおかしいのかとさえさっぱりわからないでしょう。
そう、星爺(周星馳の愛称)は中国語圏のスーパーコメディアンで、そして中国語圏だけのスーパーコメディアンでした。
それはそれでいいと思う人がいるかも知れませんが、私は非常に残念で仕方がなかったです。星爺の良さは、もっともっと世界中の人々に知らせてもいいはずだと、思っていました。芸風の近いジム・キャリーはちゃんと世界中の人々を笑わせたのに、それが星爺が出来ないというのでしょうか?
喜劇王 [DVD]
でも星爺はやった、やってくれました。「少林サッカー」で、その文化の違いで出来た壁を、見事に砕いてしまいました。香港ローカルネタを徹した前作「喜劇王」を踏まえ、「少林サッカー」は「地元の人のみわかる」といった要素をできるだけ排除し、誰でもわかる単純明快なシナリオで、ハリウッドが築いたリアルを徹するCG手法の裏を取るような、まんがまんがの構図で視覚的な刺激を客に与え笑わさせることができました。今までセリフや演技では伝えきらない面白さを、誰でもわかるサッカー、誰から見てもおかしい特撮で、伝えられるようにしました。
実際、「少林サッカー」の笑いはすごく中華的だと思います。喜劇の基本「他人の不幸を笑え」の要素を表に出し、「そして自分の不幸も笑う=笑って受け止め→乗り越える」を隠し味にしていました。登場人物の悲惨さを戯けて、いつしか彼達も自分の惨めさに気付き、そして道化でいる自身を恥じる方から、道化である自身を楽しむようになるという段取りは、実に古典的な中国の喜劇でした。西洋風のコメディに目を馴らした私たちにも受けられるようにできているとは、本当にすばらしい出来でした。
いままでは中国語圏だけの星爺は今、世界の星爺になろうとしています。その新たな動きを期待しつつ、ささやかな応援をし続けます。星爺、がんばれ!
 
P.S.
食神 [DVD]周星馳の作品中、個人的な一番は1996年の「食神」で、二番は1992年の「審死官」、そして三番はやはり初めて星爺を知った1990年の「賭侠(ゴッドギャンブラー2)」ですね。また、劉徳華アンディ・ラウ)と共演した「整蠱専家」と、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)と共演した「大内密探零零發(008皇帝ミッション)」も大好きでおすすめです。

elielin

数年前は東京でアニメ制作進行をやってた台北在住の台湾人編集者です。おたくでもギークでもないと思うけど、そう思っているのがお前自身だけだと周りから言われています。時々中野区に出没。

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