財団法人台湾医界連盟基金会から世界保健機関への公開レター
2003年3月27日
世界保健機関(WHO)の今回の重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する措置は、「健康を追求することは全人類が当然享受すべき権利であり、この権利は民族、宗教、政治、経済、社会状況の違いによって差別されてはならない」(The enjoyment of the highest attainable standard of health is one of the fundamental rights of every human being without distinction of race, religion, political belief, economic or social condition.)とするWHO憲章の唱える設立の主旨に反しております。台湾医界はここに厳重に抗議するとともに、WHOに対し以下の二項目の要求を提示し、台湾がWHOに加盟していないために生じる損失を、WHOが解決することを望みます。
- WHOは台湾がSARS関連の措置を支援する人員を早急に派遣すること。
- 台湾のWHO加盟を受け入れること。
台湾はWHOに非加盟のため、このたびのSARS発生の中で、重大な困難に直面しています。台湾はWHOの専門家の支援を受けることができず、WHO西太平洋地区支局の協力を得られず、米国の疾病管制センター(Center for Disease Control, CDC)の協力に頼り、サンプルを遠い米国に送らねばなりません。この時間的ロスによる状況把握の遅れは、世界にとっても大きな損失ではないでしょうか。
台湾は病状に関する報告を三月十四日に電子郵便にてWHOに報告しましたが、同十八日になってようやくWHOはそれをインターネットのホームページに掲載したにすぎません。ここで無視してならないのは、WHOによる感染性疾病の調査において、台湾の資料のみが欠落していることは、台湾のみの損失ではなく、世界の人々が疾病の状況を的確に知り、早急に対策を立てるためにも重大な損失になるということです。
台湾は中国の一部分ではありません。しかしWHOのインターネット上の資料は毎回台湾を中国の一省として取り扱っております。これは台湾人民を軽視する行為であり、WHO事務局は早急にこの点を改善すべきであり、われわれは引き続きこれに関する必要な行動を取ります。
台湾は一九九七年からWHOに加盟の申請をしておりますが、常に中国の妨害に遭っております。中国は台湾のWHO加盟を阻止しているばかりでなく、WHOによる疫病の調査にさえ妨害を加えております。WHOのインターネットが示している通り、中国はこれまで疫病の状況についてWHOに明確に報告しておらず、ワシントンポストは中国が新華社に疾病状況を隠匿するよう命じたことを報じており、情報の閉ざされた中国に滞在する数十万の台湾企業関係者の身は重大な危機に直面しております。三月十七日、WHOの専門家は国連の記者会見において、政治的な要素によってWHOにおける台湾の疫病調査が影響を受けていることを明らかにしました。
WHOへの加盟を阻止されている台湾は、これまでにも非加盟のため多くの台湾民衆の生命と健康が確実に被害を受けております。
- 二○○○年、台湾はWHO西太平洋地区支局の方針に合わせ、小児麻痺根絶の目標を達成しましたが、WHOはこれを承認しませんでした。
- 一九九九年、台湾中部に九・二一大地震が発生し、二千数百人が死亡しました。ところが中国は、「台湾は中国の一省だ」と宣伝し、WHOの台湾緊急支援に反対し、WHOは台湾に緊急救助隊を派遣することができなくなり、また台湾はWHOからいかなる公衆衛生、あるいはその他の医療指導を受けることもできませんでした。
- 一九九七年、台湾はWHOから腸内ウイルスに関する防疫情報を得られず、八十数名の児童が腸内ウイルスのため死亡し、数知れない児童が感染しその恐怖にさらされました。
台湾がWHOへの加盟を必要としているばかりでなく、WHOもまた台湾の加盟を必要としております。さらに多くの被害発生を防ぐため、台湾医界はWHOとともに世界の人々の健康と福祉のため、共同で努力したいと願っております。
ええと、以上の文章は台灣醫界聯盟基金會の台湾WHO加入を促すサイトHealth for all with Taiwan(現在中国語とフランス語と英語サイトしか公開していないが)から取ってきたコピぺです。
今月はじめ、うちの弟から、SARS対策を立てる際台湾はWHOの支援を求めたが、WHOに無視されただけではなく、しまいに「北京を通せ」と言われたことを聞きました。はっきり言って腹立つ話です。今月中になって台湾での発症例が急増し、日本のマスコミが今まで北京や香港に集中する目線をいきなり台湾に向けてきました。
しかし、WHOのデータを基づいて報道しているせいが、「北京と台湾合わせて死者が○○人増加」とかセリフはなぜか聞くので個人的にはちょっと不愉快でした。おいおい、台湾と北京は台湾と福岡より離れているのだぞ、わざわざあわせて数える意味あるのか…とツッコミ入れたくなるような感じでした。
正直に言って、台湾の医療技術も公共衛生に関するノウハウは決して中国に劣ってはいない、いや、むしろ上回っています。なのにWHOは台湾にいる二千七百万人の命と安全を無視しつづけ、北京の鼻息に仰ぐばかりで現在台湾を、アジアをSARSの危険に晒さすような結果に導いてしまいました。いいかげんにしてほしいです。
台湾のWHO加入についてもっと知りたい方はこちらへどうぞ:
台湾駐日文化代表処
http://www.roc-taiwan.or.jp/
台湾政府衛生署「WHOに加入させて」(英語)
http://www.gio.gov.tw/taiwan-website/5-gp/join_who/
また名前(本名じゃなくても可)とメールアドレスを入力するだけで、WHOへ台湾加入支持メールが出せるフォームはこちら(これもまた英語です)。
…本当に柄にもなくムキになってますね、私。